全身病と眼

[No.1809] 活動性甲状腺眼症(TED)を対象としたTeprotumumabの日本での試験結果発表:PR Times

清澤のコメント:Teprotumumabは、活動性甲状腺眼症(TED)の治療に有用な治療法です。TED(Thyroid eye disease)は、甲状腺機能亢進症の合併症であり、眼球突出、眼瞼浮腫、眼球運動障害、視力障害などの症状を引き起こします。Teprotumumabは、このような症状を改善するために開発されたモノクローナル抗体であり、IGF-1R(インスリン様成長因子1受容体)に結合して、眼球突出や眼瞼浮腫を引き起こす細胞の増殖を抑制します。Teprotumumabは、米国FDAによって承認された最初のTED治療薬であり、臨床試験で有効性が示されています。Teprotumumabは、日本ではまだ保険収載がなされていませんが、TEDの治療において有望な治療法であり、今後ますます多くの患者さんに利用されることが期待されます。(図は wikipediaから)

 

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Horizon Therapeutics plc、活動性甲状腺眼症(TED)を対象としたTeprotumumabの日本での第三相臨床試験(OPTIC-J)の臨床的に意義のある試験結果を発表

— 24週時点で、臨床的に有意義な眼球突出の改善(2mm以上)を示した割合は、Teprotumumab投与群は89%、プラセボ群は11%でした —

【ダブリン – 2023年6月22日】– Horizon Therapeutics plc(Nasdaq:HZNP)は本日、疾患活動性の尺度であるClinical activity score(CAS)が高い日本人の甲状腺眼症患者を対象にTeprotumumabを評価する日本での無作為化二重遮蔽プラセボ対照並行群間比較多施設共同第三相試験において、臨床的に意義のある試験結果が得られたことを発表しました。甲状腺眼症は深刻で、進行性かつ潜在的に失明の恐れがある希少な自己免疫疾患であり、眼球突出(眼球が前に出てくる)、複視(ものが二重に見える)、眼痛、充血、浮腫を引き起こすことがあります¹。

本治験の共同責任医師である久留米大学医療センター名誉教授 廣松雄治先生は次のように述べています。「日本で承認されている甲状腺眼症を対象とした治療薬はなく、甲状腺眼症の患者さんは、その症状やそれに伴う精神的・社会的負担に大きな悩みを抱えています。そのため、この試験で得られた臨床的に意義のある試験結果はとても重要です。現在、日本ではステロイド療法や侵襲的な手術等といった治療法しかないのが現状です。Teprotumumabは、眼球突出や複視などの症状を改善するだけでなく、甲状腺眼症の発症機序をターゲットとした薬物治療のひとつの選択肢となり得ます」

本試験では、主要評価項目が達成されました。24週時点で、プラセボ群(11%)と比較して、Teprotumumab群では89%の患者において、臨床的に有意義な眼球突出(2mm以上)の改善が認められました(p<0.0001)。安全性プロファイルについては、Teprotumumabのこれまでの臨床試験で確認されたものと一致しています。さらなる試験結果は、今後の学会及び学術誌にて公表される予定です。

Horizonの研究開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるエリザベス・トンプソンは、次のように述べています。「この臨床試験の結果を大変うれしく思っています。甲状腺眼症に苦しむ日本の患者さんにこの革新的な治療薬をお届けできるよう、今後も日本の医師や規制当局と協力してまいります。このような結果を得ることができたのは、臨床試験に参加くださった日本の甲状腺眼症の患者さんや治験医師の先生方のご協力のおかげであり、深く感謝申し上げます」

日本における甲状腺眼症の発症率は、人口10万人あたり7.3人(男性3.6人、女性13.0人)、患者数は34,913人、有病率は0.034%と推定されています²。

現在、日本では、CASが低値の慢性甲状腺眼症の成人患者を対象に、Teprotumumabを評価する第三相臨床試験が進行しています。この試験では、試験開始の2~10年前に甲状腺眼症と診断され、疾患活動性が低い患者を対象としています。

Teprotumumabは、2020年1月に米国食品医薬品局(FDA)より、甲状腺眼症に対する最初で唯一の医薬品として「TEPEZZA®」という商品名で承認されています。日本において、Teprotumumabは承認されていません。また、日本では甲状腺眼症を効能効果とした医薬品はありません。

試験デザイン

OPTIC-J試験は、日本における中等度から重度の活動性甲状腺眼症患者に対するTeprotumumabの有効性、忍容性、安全性を評価する無作為化二重遮蔽プラセボ対照並行群間比較多施設共同第三相試験です。試験方法は、欧米で実施された第三相臨床試験(OPTIC試験 https://ir.horizontherapeutics.com/news-releases/news-release-details/new-data-phase-3-teprotumumab-trial-optic-shows-dramatic )に基づいています。組み入れ基準を満たした成人の参加者は、Teprotumumab投与群(n=27)またはプラセボ投与群(n=27)に1対1の割合で無作為に割り付けられ、3週間に1回、計8回の投与(初回は10mg/kg、残り7回は20mg/kg)が行われました。無作為化されたすべての患者は、24週目の評価を完了しました。

有効性の主要評価項目は、24週目の眼球突出改善率であり、評価対象の眼の眼球突出がベースラインから2mm以上減少し、僚眼の眼球突出に悪化(2mm以上の増加)が認められない被験者の割合で評価されます。臨床試験期間の終了後、24週目に眼球突出に対する奏効がみられない被験者は、非盲検期間を延長し、さらに8回のテプロツムマブの投与を受けることができます。

この臨床試験は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)との協議に基づいて設計されました。試験の詳細は、臨床研究等提出・公開システムのウェブサイト(実施計画番号jRCT2031210453 [ https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031210453 ]:https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/um?trial_id=jRCT2031210453 )を参照してください。

 

甲状腺眼症(TED)について

甲状腺眼症は、深刻で、進行性かつ潜在的に視力低下の恐れがある希少な自己免疫疾患です¹。  その多くはバセドウ病に伴ってみられますが、後眼窩の細胞でインスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)を介したシグナル複合体を活性化する自己抗体によって引き起こされる個別の疾患です³,⁴。  これらが一連の症状につながり、失明など長期にわたる不可逆な損傷を引き起こす可能性があります⁵,⁶。 甲状腺眼症の初期症状には、ドライアイ、異物感、充血、腫れ、過度の涙、眼瞼後退、眼球突出、目の奥の圧迫感や眼痛、複視などがあります。

 

将来の見通しに関する記述

本プレスリリースには、Teprotumumabの潜在的効果に関する記述、日本におけるTeprotumumabの承認および発売の可能性に関する記述、臨床試験のデザインの記述など、既存事実以外の将来の見通しに関する記述が含まれています。これらの将来の見通しに関する記述は、Horizonの現在の予想に基づくものであり、本質的に重大なリスクと不確実性を伴います。将来の見通しに関する記述は、このプレスリリースの日付時点における経営陣の予想および仮定に基づくものであり、実際の結果は、様々な要因により、将来の見通しに関する記述で想定されていたものとは大きく異なる可能性があります。これには、追加の臨床試験の結果やデータ分析が、以前の結果や他の試験の結果からHorizonが予想していたものと一致しないリスク、規制当局の承認や新薬の採用に関連するリスク、更にはHorizonが米国証券取引委員会へ提出する書類や報告書の各所において「リスク要因」の見出しの下に記載されているリスクが含まれます。将来の見通しに関する記述は、このプレスリリースの日付時点のものであり、Horizonは、法律によって要求される場合を除き、これらの記述を更新または修正する義務を負いません。

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甲状腺眼症の管理におけるパラダイムシフト テプロツムマブ治療: 総説紹介

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