高コレステロール血症は、心血管系の症状がよく知られていますが、眼症状としても以下のものがあります。
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眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ):
- まぶたにコレステロールが沈着することで起こる病気です。
- 中年以降の人に多く見られ、上まぶたの内側にできる黄色い扁平な隆起が特徴です。
- 痛みやかゆみはありません。
- 虚血性心疾患や心筋梗塞、アテローム性動脈硬化の重要な皮膚マーカーとなる予測因子とされています.
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角膜輪・老人環
- 黒目の周りで、角膜にコレステロールがリング状にたまる症状です。
- 家族性高コレステロール血症の方でみられることがあります.
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これらの症状は、眼科でもしばしば見かけますが、それらがが現れるのを見た場合には、コレステロール値を測定したうえで、適切な医療機関を受診してもらい高コレステロール血症の適切な管理を行わせる必要があるかもしれません。
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PCSK阻害薬ないし抗PCSK抗体に医学研究が注目
これとは別の話題ですが、スタチンと並ぶ抗コレステロール血症の治療薬としてPCSK阻害薬ないし抗PCSK抗体が医学研究で注目されています。
PCSK9阻害薬は、脂質異常症(高コレステロール血症)の治療に用いられる医薬品です。これらの薬剤は、PCSK9というタンパク質を阻害し、肝臓におけるLDL受容体(LDLR)の分解を抑制してLDLRを維持させ、循環血中のLDL粒子濃度を低下させることができます.
LDL(high density lipoprotein)粒子濃度は、多くの専門家によって心臓発作などの心血管疾患の原動力と考えられているため、PCSK9阻害薬がこれらの疾患のリスクを低減させる可能性があるのは理にかなっています。
現在、PCSK9阻害薬の心血管疾患に対する効果、および安全性と有効性のプロファイルについて、第III相臨床試験を含む臨床試験が進行中です 。
2022年1月時点で承認されている阻害薬は、モノクローナル抗体のアリロクマブとエボロクマブです。また、開発中の阻害薬には、抗体薬の1D05-IgG2、RG7652、フロボキマブ、およびRNAi治療薬のインクリシランがあります.
PCSK9阻害薬は、スタチン不耐性を示す患者の治療やより強いLDL濃度低減のためのスタチン頻回投与を回避する方法として、有望な治療薬とされています .
これらの薬剤は、高コレステロール血症、特にコレステロール値が高く、若くして心臓発作を起こす遺伝的疾患であるヘテロ接合型家族性高コレステロール血症の治療薬として承認されています. 更に最近、これらの薬剤は、全死因死亡率の減少を含む心血管系イベントの減少についても承認されました.
ただし、2014年3月にはPCSK9阻害による認知機能の副作用の可能性についてFDAから警告が出され、神経認知テストを含めるよう求められたことが懸念されました.
総じて、PCSK9阻害薬は高リスクの患者において最大限の耐性を有するスタチン治療以上の効果をもたらす可能性があり、心血管疾患の予防に寄与することが示されています .
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