全身病と眼

[No.434] 眼周囲の皮膚小病変:稗粒腫、汗管腫、粉瘤その他

目の下にイボ状の突起物、原因は?女性にできやすく予防困難

関連記事:411 眼瞼皮膚の角化を伴う諸疾患(瞼のいぼ?)

  ―――本日のネット記事抄出―――

目の下にイボ状の突起物

 稗粒腫は直径1〜2ミリの白いブツブツで、小さな袋の中に皮膚の垢や脂が詰まった状態です。ニキビなどの皮膚の炎症やけが、やけどの跡などにできることがあります。自然に治ることが多いので様子をみることが多いですが、積極的に治療するとすれば、内容物を絞り出す処置をする。

 汗管腫は直径1〜3ミリ、肌色から少し茶色のブツブツで、汗を出す管が皮膚の中でトグロを巻いて盛り上がった状態。女性に多い。自然消失はなく、窒素で凍結するかレーザーで治療する。

 エクリン汗嚢腫は直径2〜3ミリで肌色からやや透き通ったブツブツで、汗を出す管が皮膚の中で袋状に膨れた状態。中年以降の汗をかきやすい女性に多い。汗をかきやすい夏に悪化し、涼しくなると目立たなくなる傾向あり。汗管腫と同じようにレーザーで治療することがありますが、完治は難しい。

まずは、

1、稗粒腫 milium (ひりゅうしゅ)

1~2mm大の白い小腫瘤(嚢胞)で、眼の回りの柔らかな皮膚にも出来易い疾患。稗粒腫は表皮嚢胞に限局したごく小さなもので、角質が皮膚内にめくり込んで皮膚内に角質の塊が形成される状態。

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組織学的には表皮嚢胞と同一。特に痛みなどの症状はないが、数年かけて角質が少しずつ溜まると、あるとき限界に達して、中の角質が破れて出ると、再び肌は平らになる。

稗粒腫はいくつもでき、順繰りに治っていくから、常に目の周りに小さな白いプツプツがあるという状態となる。(図:http://library.med.utah.edu/kw/derm/pages/habe_13.htm)

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眼科では、美容的に除去を希望されれば、治療する。治療は、角質の塊をとってしまえば良いので、針で表皮を小さく切開して鋭匙で中身を掻き出すか、小さく切開してピンセットで圧迫するかすれば、傷跡はほとんど残らずに取れる。

2、汗管腫Syringoma:

汗管腫は目頭や下眼瞼に多発する肌色で少し盛りあがりのあるイボのような1~3mmのしこり。(図:http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Syringoma.jpg)

汗管腫とは汗腺のような組織が目の周りなどに異常に増殖する状態で、良性腫瘍の一つ。見た目は皮膚表面が凸凹した感じだけ。

性別では女性に多い傾向。薬では治らず、取るならば、切除やレーザー・電気メスで焼く治療を行う。数個の場合は一度に治療可能だが、数が多い場合は数回に分けて治療したり、目の下のタルミを取る手術に準じた術式を用いて皮膚を切り治療する。

3、粉瘤(アテローマatheroma)

毛穴の皮膚が袋状になり中に老廃物(アカなど)が溜まった状態で、脂肪腫と混同される事がある。押すと異臭を伴う中身が出て来る事あり。詳しく分類すれば、「表皮嚢腫」(真性粉瘤)と 「毛ほう嚢腫」(仮性粉瘤)の2種類がある。

Wikipediaでアテローマをみると、粉瘤腫(ふんりゅうしゅ、 epidermal cyst, 日本では atheroma (あてろーま)とも呼ぶ)と記載されている。つまり、欧米ではatheromaは主にこの粉瘤腫や粉瘤をさす言葉ではなくて、粥状動脈硬化を示す動脈硬化した血管の状態だけを示す単語らしい。

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ですからgoogleでatheromaをキーワードにイメージ検索をしても眼の周りの粉瘤は見つからず、epidermal cystないしdermal cystで探さなくてはならない(図:http://www.thieme-connect.com/ejournals/abstract/sps/doi/10.1055/s-2006-949121;jsessionid=563E939FDABF5A363DE04750FD672F3C.jvm3)。図はデルモイドです。

(皮膚科や眼科で使われる日本語の)アテローマは、最初に述べた通り、新陳代謝によって外皮から剥がれ落ちる垢などの老廃物が、皮膚内部に溜まることによってできる良性の腫瘍の総称。

放置しておくと化膿する事がしばしばあるが、こうなると傷跡が残り目立つ傷跡になってしまう。 急に大きくなるようなら、早めに切除した方が良いだろう。しこりと同等の幅での切開を必要とする。

4、角化を伴うその他各種の疣贅(いぼ)

角化と言うのはケラチンが皮膚の細胞中に沈着し上皮が肥厚して厚く硬くなる現象。眼瞼皮膚にそのような状態を示す代表的疾患には、上記の疾患のほか老人性疣贅、皮角(ケラトアカントーシス)、 尋常性疣贅、ケラトアカントーマ、それに皮膚線維腫などがある。

これらはそのまま残しても害は無いが、目立つときや拡大傾向がある場合には眼科でも治療する。このうち尋常性疣贅は皮膚科に依頼して液体窒素で治療しますが、他は局所注射で麻酔して切除する方法で対応できる。

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4-1、脂漏性角化症”seborrheic keratosis:





老人性疣贅とも呼ばれる。 脂漏性角化症 “眼瞼皮膚に生じる良性の病変としては頻度が高い。(図:http://www.friendlylight.net/friendlylight_erbium.htm)

悪性化することはないが基底細胞癌との混在も報告されており、注意が必要。ときに細菌感染などにより潰瘍を形成や、出血を伴うなど肉眼的に悪性腫瘍に類似することがあり、疑わしい症例では生検が必要となることもあります。基底細胞層が極性を失わずに増殖することが脂漏性角化症の病理組織の基本。

4-2:皮角:

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皮角は病名というよりも硬く角のように盛り上がった症状のことで、様々な病気で起こる。 老人性疣贅から起こることが多いが、皮膚癌の前駆症状であるボーエン病や日光角化症などから出ることもあり病理検査が必要。治療は局所麻酔を行い切除する。図は頭皮にでたもの。

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4-3、尋常性疣贅 VERRUCA VULGARIS (Common Wart).:

尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)は乳頭腫ウイルスでおきるウイルス性の「いぼ」。(図:http://www.atlasophthalmology.com/atlas/photo.jsf;jsessionid=4B3FB60770026DFA206A21C8BD250B6C?node=5397&locale=en)今は原因がわかっており、HPV(Human Papilloma Virus)の感染が原因です。

ひとパピローマウイルスの中には子宮頚癌を起こす型もあり、人にはなじみのある大きいウイルス。ヨクイニンなどでの治療も行われる。

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4-3:ケラトアカントーマ(無理に翻訳すれば良性角化棘細胞腫Keratoacanthoma):

ケラトアカントーマは、主に中年~高齢男性の顔面に生じる腫瘍。初めは半球状で、数週の間に急激に増大し噴火口状になるものの、数ヵ月で自然軽快するという特徴的な経過をとる皮膚腫瘍。(図:http://www.fleshandbones.com/imagebank/figure.cfm?ISBN=0702015881&chapter=38&figure=S15881-38-f05.jpg)良性の腫瘍だが、まれに浸潤やリンパ節転移を起こすこともある。

このケラトアカントーマは、病理組織検査を行っても悪性の有棘細胞癌と区別できないことが多く、最終的には、臨床症状(見た目)や経過などを含めて診断をする必要がある。治療をせずに経過観察をする場合もあるが、外科的切除が望ましいという考え方が強い。

4-4:皮膚線維腫dermatofibroma:

小さくて赤色ないし茶色をしたこぶ(結節)で、皮下の軟らかい組織をつくり出す線維芽細胞が産生したコラーゲンがたまってできる。 皮膚線維腫は稀ではなく、触れると硬いこぶが触れる。単独にひとつだけできるのが普通。原因は、けが、虫刺され、毛をそるときにできた切り傷など。皮膚線維腫は無害で、症状もほとんどなく、ときにかゆみを伴う程度。できていることが気になったり、大きくなってきたりしたとき以外は特に治療もしない。

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