清澤のコメント;アラーキーも洒落てますね。目の話題で採録。「パリの空の下セーヌは流れる」を添えておきましょう。シテ島の南側にサンジェルマンデプレがあり、セーヌ川の左岸というとカルチェラタンのあのあたりを指すのだと思います。また、パリにもゆきたいです。末尾に治療を追記します。
前触れなく右目が死んで…開いた個展のタイトルは「左眼ノ恋」【天才アラーキー傘寿を語る】
4/8(金) 9:06配信
「左眼ノ恋」(2014年刊)より(2013-2014年撮影)/(提供写真)
【天才アラーキー傘寿を語る】#81 朝、ヒゲを剃っているときに突然、パッと見えなくなったんだよ。痛くもなんともないのに。突如ね。徐々になっていくっていうんじゃなくて、朝、ヒゲを剃ってたら、「あれ?ヘンだな」ってね。パサって幕が落ちたみたいに見えないんだよ。そういうことって知らないじゃない。だから、すぐ元に戻ると思って、撮影に行こうとしたんだよ。
■目に血栓が飛んだ 見えなくなったのは、血管なんだって。目の脳溢血つうか、目に血栓が飛んじゃったんだって。1時間以内らしいんだよ、回復できるのはさ。1時間じゃなぁ。家でヒゲ剃ってるときに、パッと見なくなっただろ。近くに眼科があったから行ったら、こりゃ大変だってことになって、ここから一番近い病院を探すってなったんだよ。こっちはわからないからさ、そんなのすぐに元に戻ると思ってさ、撮影に行こうとしたらダメだって言うんだよ。そうしたらさ、もうそれだけで、時間が経ってんだよ。
「心臓や脳だったら大変だった」と慰められたが
荒木による書(提供写真)
病院に行ったらさ、女医がすっ飛んできて、これは循環器系だって。でさ、ヘンな慰めかただけど、心筋梗塞にならなくてよかったって言うんだよ。血栓が飛ぶのが、心臓か脳だったら大変だったってね。どちらも嫌だけどさぁ。(荒木は2013年10月、右眼網膜中心動脈閉塞症により右目の視力を失った)。 右目が死んだんだよ。オレの写真家としての利き目は、ずっと右目だったわけ。で、ある朝、パッといきなりきたわけだよ、なんの前触れもなくね。オレの場合、だれか身近なやつが死ぬと、そこからものすごいイメージが湧いてくるんだよ。で、今度は右目だったんだ。 それで、やった個展が「左眼ノ恋(さがんのこい)」。ダジャレなんだよ。これからは左目か、そうすると『セーヌ左岸の恋』だなって。オレが二十歳の頃に好きだった(エド・ヴァン・デル・)エルスケンの写真集だよ。じゃあオマージュしようってね。写真の右半分を真っ黒に塗り潰したんだ。(撮影したポジフィルムの右部分を黒マジックで塗りつぶし、そのポジから写真をプリント)。カスれたりしてるのもいいんだよ。マジックでやるとカスれ具合が、またいいんだよね。 (荒木経惟/写真家 構成=内田真由美)
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