今回の学会で行われたイブニングセミナーの聴講録です。近視進行抑制にはOpsin5が紫光を受けて働いているというお話が定着してきている模様です。責任者の栗原先生は慶応大学眼科で光生物学研究室の方のようです。
1,山下高廣先生
ロドプシンに代表されるオプシン。光を受けると変形する。活性状態は細胞外から11シスレチナール供給を要す。動物のゲノム研究でいくつのオプシンを持つか?人は5つの非視覚型おプシンを持ち、鳥類などは更に多い。
①暗がりでのオプシン。脊椎動物の暗がりでも色がわかるおプシンシステムがある。脊椎動物の奥は3錐体と1桿体を持つ。光環境で特化。錐体視物質(人は3つ、他では4種)。暗いところでは、暗がりで働くロドプシンは、光を受けてないときに何をしているのかが重要。光だけではなく、熱でも活性化され暗ノイズをだす。暗がりで葉ノイズを減らす必要があり、冷やされている。数百倍下げられている。2つのアミノ酸残基が関連し、我々は、カエルやヤモリと違う。錐体支部室は昼用。桿体は熱活性化を抑制している。ヤモリは夜行性でありの桿体の視物質には特徴がある。夜行性の脊椎動物は暗がりでの見え方を変えている。
②光を感じるところで働くオプシン5の話。最後に見つかった特殊なオプシン。400nmよりも短波長に反応する。光を受けると活性化も不活性化もする。関連するアミノ酸残基がわかってきている。オプシン5の発現は、網膜の神経節細胞と下垂体。神経節細胞のオプシン5が眼軸の延長を止める。オプシン5ワールドの発達が期待される。オプシン5は鶏の目にも発現(網膜の神経細胞や視床下部など)する。これは6億年前に獲得したのだろう。オプシンを探索すると、哺乳類以外では複数のオプシン5を持つ。トランス型レチナールが光を受けて不活性化する特殊なものもある。自然界ではなんでもありという事になる。光を見るほかに感じるオプシンの理解が進んば、疾患治療やその他の利用ができよう。
2)田中健司先生;オプトジェネティクス(遺伝)の話。要点はオプトジェネティクスという技術があり、仕組みを理解して使うべきだ。医学生物学は何かを検出して定量する。遺伝子発現を定量する。因果ではなく、相関関係しかわからない。観察と操作の組み合わせがうまくいっているのは、遺伝子研究だろう。単一神経細胞の記録(ハッカパターン) フランシス・クリックは意識の研究に進んだが、うまくいかなかった。オプトジェネティクスを見られなかった。カール・ダイセロスはバクテリアのチャネルロドプシンを哺乳類に入れてオプトジェネティクスの概念を作った。光と遺伝学(遺伝子発現)を使う。従来の電気刺激と、薬理刺激に代わってピンポイントの抑制が可能になった。アクションポテンシャルはスレシュホールドへの動きに関連している。対象がドーパミン神経(線条体)ならば、 初めて、相関関係を因果関係に変えた。メソッドオブザイヤーは2010年。電気刺激ではD1とD2を分けられない。線条体のD2タイプは行動を抑制する。操作できるのはよいが、普通の発火パターンは?ファイバーフォトメトリー、D2細胞だけを見ることができる。シングルセルでなくD2細胞。報酬行動の時にD2細胞が一気に活動する。意欲行動が顕著に抑制される。持続が必要だが、腹側海馬の今季ニューロンが(線条体に投射する)関連する。活動パターンは?神経科学の話。チャネルロドプシンが血管平滑筋に発現したら、、、フォトアクチベータなサイクリックAMPにつながる。MRIで血流を見られる。神経はミリセカンド単位で、血管は数分オーダー。NG2分子のプロモータ。PAC 分子。田中チームは脈絡膜の血管の血流研究をサポートしている。
(清澤の疑問点:眼瞼痙攣でのHorieの尾状核の研究との関連は??)
3)光環境と近視進行 栗原俊英先生:東アジアで近視が進行している。1980年奈良の研究で40%、最近は中学生の90%が近視。中学生は強度近視11.6%に及ぶ。若い世代で強い近視が増えるだろう。強度近視による緑内障や黄斑症が増えるはず。近視抑制には近業が多く、屋外活動が少ないと近視リスクが増す。近視には遺伝要因が高いが、屋外活動が多いと近視になりにくい。屋外活動が重要であった。眼軸長の伸長が大きい。屋外活動が近視進行を抑制することの機序はわからなかった。アルチザンとアルチフレックスの違いは?バイオレットライトが屋内光には少ない。蛍光灯やLEDは出ていない。実験にはヒヨコを使う。ヒヨコとバイオレットライト。分子メカニズムにはマウスのモデルが必要。キーは測定系が必要である。60ミクロンの眼軸長変化の測定が必要。視覚系オプシンが4つ(錐体3つと桿体1つ)と非視覚性オプシンが5つ。有名なのがOPN5(網膜神経節才能にある)が眼軸長の伸長に関連するという話。
Violet light suppresses lens-induced myopia via neuropsin (OPN5) in mice Jiang X., Pardue M.T., Mori K., Ikeda S.I., Torii H., D’Souza S., Lang R.A., Kurihara T., Tsubota K.、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America) 118 ( 22 ) e2018840118 2021年06月
その他の研究もある。OPN1と2が錐体と桿体で画像のボケとしてがb軸を伸ばし、OPN4と5が紫光を浴びて眼軸長延長を抑制する。レンズ誘導近視の対眼はレンズを外したことで近視化する。これは中枢神経系経由の経路も関連している。
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