眼科医清澤のコメント:オルソケラトロジーは夜間にレンズを装用して裸眼視力を上げる方法で、近視進行抑制効果もあるという学会論文もでてます。昼間の裸眼視力が改善することと、オルソケラトロジー治療を継続していただくと眼軸が伸びないという結果がでております(近視進行しない)またスポーツをするなど試合中に眼鏡が使えなかったり、特に初期の近視の小学生、中学生に推奨されています。
連休の中日である月曜昼に、「オルソケラトロジーレンズ処方のコツ」の講習を販売会社でオルソレンズの指導を担当する方をお迎えして、当医院で受けました。当院ブログのオルソケラトロジーの治療の流れと費用の概論はこちら(←)をご覧ください。
まず、オルソの処方は指針(リンク)に関わらず、現在は成人で初めて使うということは少なく、実際には若年者が主な対象となります。近視は-4.00以下の患者さんを対象に選びます。成人の方など、それまでにすでにコンタクトレンズで1.0の矯正視力を経験している人では満足が得られにくく、向かないそうです。装用練習の手間と、一時間半程の時間がかかるので、初診日には調節麻痺剤での屈折値など必要なデータ(レフケラ、度数、視力、スリットなど)を揃えて置き、レンズ度の決定やレンズの扱いなどは別の予約日のトライアルで対応するとよいとのことでした。
大事な点として、オルソケラトロジーでは完全矯正を目指し、そのターゲットは弱主計径線側のS面(球面)です。球面等価ではありません。
先ず試しのレンズを決めて、次は1週間から1か月で視力改善、角膜の状態を見ます。医師の判断でオルソケラトロジーを止めたほうが良いなら、その時点でオルソケラトロジーを中止とします。
レンズの入れ方は本人に指導するだけでなく、小学生低学年の方は親御様に装着脱着の練習してもらいます。レンズの角膜へのフィットを見て、装用前のレフケラの値と装用後の間の変化を確認します。レフラクトケラトメータの値では弱主径線を見ます。当医院で採用しているメニコン社のオルソのレンズはサイズが10.5mm(患者さんの角膜に対応してサイズ変更もできます)と普通のハードコンタクトレンズよりも大きいです。トライアルレンズ装用前には、水濡れ性を改善するために手掌の上で洗ってもらってくださいとのこと。
レンズの選択では、弱主径線の屈折値を見て表によりトライアルレンズを選びます。先ずそれを角膜上に載せてから涙が落ち着くまで休ませます。レンズの角膜へのフィットを見て、装用前のレフケラの値と装用後の間の変化を確認します。
この間にケアセットの使い方を親御様と本人に説明します。右目に白色透明なレンズを、左目には薄いブルーの色のついたものを渡して、左右の誤使用を防がせます。レンズを外すのに使うスポイトと、通常のハードレンズを外すときに外眦を外に引く方法を今はもうお勧めしないとのことでした。レンズケース1年分としてケアセット一組に4本ついています。
視力の次の追跡は一週間後、また1か月です。オルソケラトロジーでは、レンズを乗せた状態をフルオレセインで染めてみて、ドーナツ状の涙液のたまりを確認します。レンズを外した状態で30分後には角膜曲率で見る屈折値が1D程度変わる(減る)はずです。数か月してから矯正が弱くなってしまう場合には、実際に使用が確実に行われていないケースが混じっているので、慌てて装用レンズ度数の変更をするのはよくないとのことでした。
以前の医院では、私にもすでに40例程度のオルソケラトロジー処方の実績がありましたが、当医院でのオルソケラトロジーの処方件数は開院6か月で、まだ4例です。今後は、当医院職員もオルソケラトロジー処方に一層習熟してもらい、ルーチンに一層上手な処方ができるようにしてゆきたいものです。
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