清澤のコメント:私の自由が丘への移動に伴い、江東区における学校医担当は今年が最後ですが、その最後の出仕業務である小学校の就学時健康診断を砂町第7小学校と砂町第五小学校で行いました。受診できなかった方々には1月に追加の検診が行われるそうです。眼科関連では、①眼科医による視診と問診、それに②視力検査が行われました。関連事項を短く纏めます。
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子どもの視力異常は、6歳台で行う就学時健診で異常を発見してすぐに治療を始めることが必要です。
黒板や教科書を不自由なく見るには視力0.7力が必要:毎年秋になると、学校保健安全法に基づいて次の春に小学1年生となる子どもの健康診断が行われます。これが「就学時健診」です。学校での集団生活に備えることが主な目的で、内科・眼科・耳鼻咽喉科・歯科などの検査をします。視力は学習にも影響を与えるものですから、就学時健診での視力検査はとても重要です。
視力は出生後より発達し6〜8歳で完成しますが、遠視や乱視、斜視(しゃし 左右の眼が異なる方向に向いている状態)などがあると視力の発達が阻害され、「弱視」になってしまいます。
弱視とは「メガネやコンタクトをしても視力が1.0に満たない状態」で、左右の眼で度数が違う場合には片方の眼だけが弱視になってしまうこともあります。本人の自覚症状がなく、見逃されてしまうことが多いので注意が必要。
6歳は視力治療の「リミット間近」:
弱視は視力の成長期間である6〜8歳くらいまでに治療を終えないと、治療効果が低くなり、視力の回復が見込めないことがあります。視力のトラブルを早く見つけ、治療をスタートすることが大切です。
検査は子ども1人で受けるから、事前の練習が大切:
数種類の検査を行いますが、その1つが「ランドルト環」と呼ばれる視標を用い、アイパッチなどをつけて左右別々に裸眼での視力をチェックする検査です。子ども1人で受けるため、戸惑いや不安、緊張からうまくできない場合が少なくありません。正しい視力を知るためにも、事前に家庭で練習しておくのがおすすめです。
その他、感染性の眼疾患がないか上まぶたやまつげなどの外眼部の検査や、斜視など眼位の異常がないかどうかもチェックします。
「要精密検査」と言われたら、とにかく早めに眼科を受診
視力検査の結果が0.7以下だった場合、眼科での精密検査をすすめられます。弱視の子どもは見えにくさを自覚していないことが多く、要精密検査の通知を受け取って驚く親も少なくありません。
もし通知を受け取ったら、原因を知るためにも早めの受診を心がけましょう。中にはすぐに治療しなければならない弱視が見つかるケースもあります。
小さい子どもの視力を正確に検査するのはむずかしく、3歳の時より6歳の方が正確な診断結果である可能性が高いです。また、眼科を受診した弱視の子どものうち、3歳児健診で見逃されていたケースが74.6%にものぼるという調査結果もあります。
「精密検査をして異常がなければ安心」と考えて、まずは受診することが大切。就学時健診で弱視が発見された場合でも、すぐに治療を開始すれば小学校入学時には、かなり視力が改善するケースもあります。近視による視力低下の低年齢化が進み、就学時健診で発見されるケースが増えています。
近視とは、近くの物はよく見えるけれど遠くのものが見えづらい状態です。学校での黒板の文字や離れたテレビ画面の文字などが見えづらくなります。
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文部科学省が平成29年度に実施した調査によると、眼鏡やコンタクトレンズを使わない裸眼視力が「1.0未満」の割合は、小学生32.46%、中学生で56.33%という結果でした。さらに「0.3未満」の小学生の割合は年々増加しています。メガネやコンタクト処方の際は眼科専門医を受診しましょう。
「メガネ」はスムーズな回復のために欠かせないものです:弱視も遠視も近視も、視力の治療法としてメガネを作るケースがよくあります。「小さいうちからメガネをさせるのはかわいそう」とメガネをさせないのは大きな間違いです。子どもがメガネをネガティブなものと考えないように、親がしっかりフォローしてあげましょう。楽しく装用できるよう好きな色などを選び、「よく似合うね!」などほめてあげましょう。
弱視治療用メガネの購入には、5歳までは1年に1回、5歳〜9歳の誕生日までは2年に1回、3万8000円程度の補助が出ますので活用しましょう。(注;近視と10歳以上は対象外です。)
参考資料:たまひよ、https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=41652
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