小児の眼科疾患

[No.891] 近視進行抑制、海外で認められた3つの治療法:記事紹介

清澤のコメント:先日は米国眼科学会が推奨する小児の近視進行抑制法を紹介した(末尾でリンク)。今回は、私も導入している近視治療の専門家が推奨する近視進行抑制の方法を採録紹介したい。

  ―――記事抄出―――

元記事;2022/06/02 筆者:吉崎洋夫

 文部科学省が2021年に公表した調査によると、裸眼視力が10未満の小学生の割合が3752%、中学生の割合が5829%といずれも過去最悪を更新。

 栗原大智医師は「基本は、目を離すことと、適度に目を休ませることだ」と指摘。目と見るものとの距離が大事。背筋を伸ばして、タブレットや教科書などを見るように。その上で、20分とか30分ほどタブレットなどを見たら、56m程度遠くを、20秒、30秒ほど見るのがいい。

 また、近視の進行を抑制するとして現在注目を集めているのが、太陽光。台湾では政策として「天天戸外120:学校で12時間、屋外活動を行う。その結果、視力08以下の児童の割合が減少した。

太陽光を目に入れることが近視の進行抑制に有効であることはわかってきている。週に1回でも2回でも12時間以上過ごすことを勧める。

近視抑制治療に詳しい筑波大の平岡孝浩准教授:最新注目されている近視抑制の治療法がある。

視力がいくつの子が治療を受けるべきといった規定はないが、近視を持つ子は治療の対象になる。本人および保護者の希望がある方が対象となる。

①目薬による治療。「低濃度アトロピン点眼」と呼ばれる薬で、毎日就寝前に継続して使用することで、近視の進行を抑えることができるという。使用開始年齢に特に制限はない。シンガポールの研究では2年間で近視の進行を約60%抑制した。

② 「オルソケラトロジー」と呼ばれるハードコンタクトによる治療。レンズが緩いカーブ状になっており、それを目につけて角膜を平らに変形させることで、近視を矯正する仕組み。角膜は一度形を変えると一定時間(836時間程度)は持続するため、就寝時に装着し、起床後に外して過ごすことができる。使用開始年齢に制限はない。

 筑波大の研究では10年間以上の治療でも、近視進行の抑制効果があることがわかっている。近視進行の抑制効果を期待して治療を受ける人も増えている。数ある近視抑制法の中で最もエビデンスレベルが高い。オルソケラトロジーとアトロピン点眼を併用で、より効果があったという研究も出ている。

③「多焦点ソフトコンタクトレンズ」。もともとは老視矯正のための遠近両用コンタクトレンズだが、子どもの近視進行を抑制することにも効果があるという研究結果が出ている。日本では未承認で、販売されていない。通常は小学校高学年から使えるようになるという。

海外で有効性が認められても、日本ではなかなか利用できない実態。近視抑制治療についても海外と比べると5年から10年程度遅れを取っているのが現状。

AERA dot.編集部・吉崎洋夫記事から抄出)

子供の近視進行抑制の5ステップ:米国眼科学会資料紹介

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