糖尿病網膜症・加齢黄斑変性・網膜疾患

[No.3425] 先天性視神経形態異常という市邉義章先生記事から

神経眼科42巻、1号が届きました。今回の特集は視神経乳頭とその異常が取り上げられています、復習をするのにちょうどよい記事として「視力低下のみかたと先天性視神経形態異常」 という市邉義章先生(神奈川歯科大学附属横浜クリニック)の記事に、次の記載があります。視神経疾患は視力低下をきたす重要な疾患の一つである.視神経が発赤,腫脹していれば視神経疾患が疑われるが,必ずしも視神経原発とは限らず,他疾患による二次的変化の可能性もある.また視神経を含む眼底に異常がない場合は,球後視神経から視中枢までの疾患を疑うことになる.今回はこの総説の中から、視神経疾患との鑑別が必要な,先天性の視神経形態異常に関する部分を抄出する。図を原文から借用した。(神眼424102025

 

先天性視神経形態異常

1,大乳頭,小乳頭

 視神経乳頭の大きさは,大小さまざまである.視神経乳頭が大きいのは先天的な真の大乳頭の他に,朝顔症候群や視神経コロボーマなどの「大きくみえる視神経乳頭」,いわゆる偽大乳頭がある.真の大乳頭は臨床上あまり問題となることはない.また大乳頭はしばしば乳頭陥凹の拡大を伴うが,リムがはっ きりしていることや,神経線維欠損,減少がないことなどが緑内障視神経所見との鑑別となる.

 それに対し小乳頭は発赤,腫脹して見え視神経疾患と迷うことがある.大きさは小さくともその中を走行する血管,視神経線維の数は正常と同じなため発赤して見えると考えられている.大きさの評価にはDM/DD比を用いるとよい.小乳頭の形態的特徴として,double ring sign 乳頭の中心から網膜血管が出る(通常はやや鼻側から),乳頭の生理的陥凹がない,細長く痩せている視神経,DM/DD 比>3.0  または,左右差>0.3などがあげられる.対光反射が正常であることも器質的疾患との大きな鑑別ポイントとなるが,視神経炎との鑑別に迷う場合は視野検査,蛍光眼底造影検査での蛍光漏出有無の確認,さらには頭蓋内検索などの精査が必要となる.小乳頭は後述する傾斜乳頭とともに虚血性視神経症のリスクファクターとなるといわれている(disc at risk).また脳梁欠損や透明中隔欠損など脳正中部異常を合併することも ある.

視神経の形態は屈折の変化などで経時的に変化し小乳頭化することがあり,小さい乳頭が必ずしも先天性とは限らない。図2は近視の進行とともに視神経の形態変化を生じた自験例で,約9年前の写真と比べると耳側にコーヌスが出現し,視神経乳頭 の形が縦に細く変化している.ただ,前述した先天性小乳頭の形態的特徴とは異なる点が鑑別となる.

 

2,傾斜乳頭

 胎生期の眼裂閉鎖不全による先天的な視神経の形態異常.その発生様式から下方にコ-ヌスが存在し下方網膜に萎縮がみられ,検眼鏡的には同部の脈絡膜血管 が他の部よりはっきりと観察される.形態異常のみで とどまることもあるが,自覚症状のない視野異常が検出されることもある.近視眼が多く,萎縮は下側に多 いため,視野異常は上耳側,上方に多い.また,しば しば黄斑部に色素上皮の萎縮による漿液性網膜剥離が 発生し,視力低下をきたすことがあるが,この異常検出にはOCTが有用である.

3,乳頭ドルーゼン

 乳頭ドルーゼンは先天性の視神経異常で,通常無症状に経過するため眼検診や他疾患での受診で指摘されることが多い.性差はなく,両眼性が多いとされている.検眼鏡的にはごつごつとした外観を示す表層型乳頭ドルーゼンと埋没型乳頭ドルーゼンに分けられるが,埋没型はうっ血乳頭との鑑別を要する.鑑別点を表2に示す.眼底写真では無赤色光を用いた撮影ではきらきらとしたドルーゼンが,またフルオレセイン蛍光眼底撮影のフィルターを用いることで静注前に自発蛍光(図4b)が観察される.その他の検査として,CTや超音波検査によって,突出した視 神経内の石灰化像が検出できる.最近は OCTによる乳頭ドルーゼンの報告も散見される.合併症として網膜色素変性症,網膜色素線条,虚血性視神経症,網膜動静脈閉塞症,片頭痛などがある.幼児 期には目立たず,年齢とともにドルーゼンは目立つよ うになり,20歳代で視野異常が検出されることが多い.進行すると乳頭の変化も少なくなり,やがて色も蒼白化,視神経線維も菲薄化していく.このように, 経時的に視野異常や視力低下などをきたすことがあり,慢性進行性視神経疾患としてとらえての経過観察が必要である.

4,上方部分視神経低形成 SSOH

 上方部分視神経低形成(superior segmental optic hypoplasiaSSOH)は先天性に視神経上方から上鼻側の網膜神経線維層の菲薄化,欠損により下方視野異常を呈する.視神経の形態的には乳頭血管分岐の上方偏位,上方の網膜神経線維層欠損,乳頭上方のハロ ー,乳頭上方リムの蒼白化が特徴とされる.緑内障との鑑別が重要となるが,SSOHの場合,緑内障と比較して,視野異常がより周辺に存在,網膜神経線維層の菲薄化は上方から上鼻側に多い,Goldmann視野検査でマ盲点に向かう視野狭窄,視野異常は進行しない,などの違いがある.緑内障を合併した報告もあり,小乳頭や傾斜乳頭とともにリスクを持った視神経(disc at risk)としての経過観察が必要である.

5,視神経乳頭小窩(pit macula syndrome)

  乳頭,主に耳側に小窩がみられ,小児期では無症状であるが,加齢とともにしばしば黄斑に漿液性剥離を生じる.

6,乳頭血管異常

 乳頭前動脈ループ(pre-papillary vascular loop) は蛍光眼底造影では色素の漏出はみられない.視神経鞘髄膜腫で見られるopto-ciliary shunt vesselや,糖尿病などの視神経乳頭新生血管,網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)後のシャント血管との鑑別を要する.

  牽引乳頭は未熟児網膜症,家族性滲出性硝 子体網膜症(familial exudative vitreoretinopathy FEVR)で見られる.乳頭は小乳頭や発赤していることが多い.網膜血管も牽引(通常は耳側に)されているので診断は比較的容易である.

7.有髄神経線維

 眼底の網膜神経線維に正常では見られない髄鞘を有し,神経線維に沿って刷毛状の白色調を呈する.片眼性がほとんどで,通常無症状.OCTでは神経線維層 が高輝度を示す.

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