屏風も店も、広げれば広げるほど倒れる:あきない世傳金と銀・合流篇(高田郁)
高田郁著の「あきない世傳金と銀」も早や(10)合流篇に至りました。江戸の呉服商仲間から追放されるも、商品を買う喜びを提供できることを売り手の喜びとして絹織物商いを離れて、木綿太物商いに転じて精進を続ける五鈴屋7代目の幸とその奉公人たちの努力が続きます。271ページ この時代小説の登場人物のひたむきな姿勢に励まされています。
「私はね、この店がとても気に入っているのだよ。無理をして店を大きくしたのではないか、とちょっと気を揉んでいるのさ。屏風も店も、広げれば広げるほど倒れる、というからね。私の杞憂で終わるよう、精進してくださいよ。」という客の言葉にも励まされます。
屏風も店も、広げれば広げるほど倒れるといった粋な表現もところどころに現れます。
この小説では月の名がすべて和風月名で示されています。季節の花や、鳥などの表現もこまやかです。太字は私にとって記憶が定かでなかった月名です。
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