土蔵(繭蔵でも米蔵でもない文庫蔵)の土扉が閉じられているのを見て違和感を感じました。事情を知らない人が気を利かせて閉じてくれたたようです。(松本市近代遺産の登録 29-44の土蔵です)
土倉の扉は、外から、①土扉(上の図)
②白土戸(第2の防火扉です、左から少し引き出しました。裏から見て壁際に変なものがあるとは思ってましたが、かつて一度も閉じられたのを見たことはないです。今回、中央の引手を引いたら閉じる方向に動くことが分かりました。
③木製の格子扉(これが最も蔵の扉らしく見えます、中央で鍵も掛かる構造です)
④網戸、ネズミ侵入防止のため、人が入るときに随時閉じる。(写真なし);となっていました。
さて、日本家屋の土蔵の土扉が普段は閉められない理由は?と聞いてみました。答えは主に以下の点にあります:
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通気性の確保: 土蔵は湿気を防ぐために通気性が重要です。扉を閉め切ってしまうと内部の湿気がこもり、保存している書類などの物品にカビが生えるリスクが高まります1。
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温度調整: 土蔵内部の温度を一定に保つために、適度な換気が必要です。扉を開けておくことで、外気を取り入れ、内部の温度を調整します2。
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防犯対策: 土蔵の扉は非常に重く、頻繁に開け閉めするのは大変です。また、土扉は白い漆喰で仕上げた表面を黒漆喰で着色してあります。これを閉じると左右の扉の接触面などが欠けるという損傷も生じます。普段は開けておき、(近隣の火災等で)必要な時だけ閉めることで、防犯対策としても機能します3。防犯のカギは次の木製の主扉に掛けます。
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緊急時の対応: 火災などの緊急時には、迅速に扉を閉めることで内部の財産を守ることができます。土扉を普段は開けておくことで、いざという時にすぐに対応できるようにしています2。
これらの理由から、土蔵の土扉は普段は開けておくことが一般的です。
注:
松本市近代遺産の登録について
次のすべてに該当する建造物を松本市近代遺産として登録し、理解を深めて頂くための取組みを進めています。
- 建築当時の歴史を伝え、まちの魅力向上につながる築50年以上のもの
- 歴史的風致維持向上計画の重点区域内に位置するもの
- 歴史的価値と、文化的価値、またはまちづくり上(まちなみ形成上)の価値があると認められたもの
- 指定文化財以外のもの
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