清澤のコメント:本日、第59回日本神経眼科学会総会 神経眼科:未知なる領域へ(12月17,18日)の抄録が届けられました。この演題が私の名前の入った抄録です。全visual snow群において、右)島皮質および右)舌状回の灰白質密度低下がみられ、また先天発症群において、右)島皮質および右)舌状回の灰白質密度低下が、更に後天発症群において、両)島皮質の灰白質密度低下がみられたという事実を報告しました。それが何を意味するかはいまだ不明です。共同研究者の石井健二先生が末尾の論文を教えてくださいました。末尾にその要点を採録しておきます。
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Visual snow患者の島皮質および舌状回における脳灰白質密度低下
鈴木幸久1, 2, 3 清澤源弘 2, 4 石井賢二3
1; JCHO三島総合病院 眼科 2; 東京医科歯科大学 眼科 3; 東京都健康長寿医療センター 神経画像研究チーム, 4; 清澤眼科医院
神経眼科学会抄録、2021
keyword: 灰白質密度,舌状回,島皮質,visual snow
【目的】visual snowは、視野内に砂嵐様のものがみえる症候群であり、羞明や残像現象、暗所視障害、感覚過敏、耳鳴など多彩な視覚・感覚障害を伴う原因不明の疾患である。visual snowは先天発症のことも多く、脳の器質的変化について調べようと考えた。
【対象・方法】visual snow症例49例(男性18 例、女性 31例;31.8±9.9歳)の頭部MRIを撮影し、画像解析ソフトを用いて、脳の灰白質密度を健常例40例(男性 24例、女性 16例;37.2±12.7歳)と比較した。さらに、visual snow患者は、先天発症群18例(男性7例、女性 11例)と後天発症群31例(男性11例、女性20例)とに分け、それぞれ健常群と比較した。
【結果】全visual snow群において、右)島皮質および右)舌状回の灰白質密度低下がみられた。先天発症群において、右)島皮質および右)舌状回の灰白質密度低下、後天発症群において、両)島皮質の灰白質密度低下がみられた。
【考察】visual snow患者では、BOLD-fMRIを用いた研究において、視覚刺激に対する島皮質の反応が健常人に比べて弱いと報告されており、PETを用いた研究においては、舌状回の安静時脳糖代謝低下が報告されている。visual snow患者における島皮質および舌状回の灰白質密度の低下は病態に関連している可能性がある。
関連論文:Insular cortex:Functional complexity and clinical correlations. Eduardo E. Benarroch, MD
Neurology® 2019;93:932-938. doi:10.1212/WNL.0000000000008525
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