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[No.161] Visual snow患者の島皮質および舌状回における脳灰白質密度低下:日本神経眼科学会抄録

清澤のコメント:本日、第59回日本神経眼科学会総会 神経眼科:未知なる領域へ(12月17,18日)の抄録が届けられました。この演題が私の名前の入った抄録です。全visual snow群において、右)島皮質および右)舌状回の灰白質密度低下がみられ、また先天発症群において、右)島皮質および右)舌状回の灰白質密度低下が、更に後天発症群において、両)島皮質の灰白質密度低下がみられたという事実を報告しました。それが何を意味するかはいまだ不明です。共同研究者の石井健二先生が末尾の論文を教えてくださいました。末尾にその要点を採録しておきます。

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Visual snow患者の島皮質および舌状回における脳灰白質密度低下

鈴木幸久1, 2, 3 清澤源弘 2, 4 石井賢二3

1; JCHO三島総合病院 眼科 2; 東京医科歯科大学 眼科 3; 東京都健康長寿医療センター 神経画像研究チーム, 4; 清澤眼科医院

神経眼科学会抄録、2021

keyword: 灰白質密度,舌状回,島皮質,visual snow

 

【目的】visual snowは、視野内に砂嵐様のものがみえる症候群であり、羞明や残像現象、暗所視障害、感覚過敏、耳鳴など多彩な視覚・感覚障害を伴う原因不明の疾患である。visual snowは先天発症のことも多く、脳の器質的変化について調べようと考えた。

【対象・方法】visual snow症例49例(男性18 例、女性 31例;31.8±9.9歳)の頭部MRIを撮影し、画像解析ソフトを用いて、脳の灰白質密度を健常例40例(男性 24例、女性 16例;37.2±12.7歳)と比較した。さらに、visual snow患者は、先天発症群18例(男性7例、女性 11例)と後天発症群31例(男性11例、女性20例)とに分け、それぞれ健常群と比較した。

【結果】全visual snow群において、右)島皮質および右)舌状回の灰白質密度低下がみられた。先天発症群において、右)島皮質および右)舌状回の灰白質密度低下、後天発症群において、両)島皮質の灰白質密度低下がみられた。

【考察】visual snow患者では、BOLD-fMRIを用いた研究において、視覚刺激に対する島皮質の反応が健常人に比べて弱いと報告されており、PETを用いた研究においては、舌状回の安静時脳糖代謝低下が報告されている。visual snow患者における島皮質および舌状回の灰白質密度の低下は病態に関連している可能性がある。

関連論文:Insular cortex:Functional complexity and clinical correlations. Eduardo E. Benarroch, MD
Neurology® 2019;93:932-938. doi:10.1212/WNL.0000000000008525

アブストラクト:

島皮質は、細胞構造的に複雑で豊富に接続された構造であり、相互受容、マルチモーダル感覚処理、自律神経制御に関与する皮質ハブとして機能します。 知覚的自己認識、および社会的行動の感情的ガイダンス。人間の島は、後葉と前葉に細分され、さまざまな細胞構築(顆粒、異顆粒、および無顆粒)、接続性、および機能に基づいて、後、中、および前の細分化が含まれます。後部(顆粒)島は、痛み、体温、内臓、前庭、およびその他の感覚経路からの入力を受け取ります。このマルチモーダル感覚表現は、中島(異顆粒)皮質でさらに精巧に作られ、次に前部(無顆粒)島に運ばれます。前部(無顆粒)は、この情報をさらに処理し、認知および感情の制御に関与する領域と相互作用します。したがって、島は、体の感覚と感情の間のインターフェースを提供し、知覚的認識、社会的行動、および意思決定において重要な役割を果たす可能性があります。てんかん手術の評価を受けている患者のfMRIおよび皮質微小刺激研究は、ヒトの島の機能的複雑さへのさらなる洞察を提供しました。島に影響を与える急性病変、発作、または変性障害は、広範囲の感覚、自律神経、運動、認知、および行動の症状を引き起こします。島の解剖学的および機能的組織1–6と、この複雑な領域に関連する限局性病変、発作、または変性過程の臨床症状に関するいくつかのレビューがあります。

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