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[No.768] サル痘は「目」の合併症にも気を付けたい 失明につながる危険も:日刊ゲンダイ自著記事紹介

清澤のコメント:先に掲載したサル痘の記事を基にお話しした内容に、井上記者がMSM関連の知見を加えて記事にしてくれました。世界保健機関(WHО)のテドロス事務局長はこれを一部の人々の感染症と考えることは、エイズの初期に診られたのと同様に危険なことだとコメントしています。

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急性サル痘ウイルス感染に関連する眼の合併症:報告の引用です

サル痘は「目」の合併症にも気を付けたい 失明につながる危険も

サル痘ウイルス(CDC提供・共同)

サル痘ウイルス(CDC提供・共同)

 厚労省は25日、国内で初めてサル痘の感染者を確認したという。世界保健機関(WHО)のテドロス事務局長が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言してわずか2日目のことだ。ところが日本人のサル痘に対する危機感は薄い。「感染者の多くは男性間性交渉者(MSM)のネットワークの中で集中している」などと報じられ、自分は無関係と感じている人が多いからだ。しかし、サル痘は感染者の体液を介して誰でも感染する。失明につながる目の病気など重篤な合併症も報告されている。「自由が丘清澤眼科」(東京・目黒区)の清澤源弘院長に聞いた。

■コンゴでは10歳未満が多く発症

 気になる目の病気の報告は2014年発表の国際感染症雑誌に掲載されている。タイトルは「急性サル痘ウイルス感染、コンゴ民主共和国に関連する目の合併症」だ。

「それによると、10年に米疾病対策センター(CDC)はコンゴ保健省と提携してサル痘のサーベイランスを実施。監視の一環として、疑わしい症例を調査し、診断サンプルと病気の兆候と症状に関する情報を収集しています。その結果、サル痘のうち23.1%が結膜炎を発症しており、その多くが10歳未満だったことがわかったのです」

 しかも「結膜炎」が報告された症例はそうでない症例と比較して悪心、悪寒・発汗、口内炎、喉の痛み、リンパ節腫脹、倦怠感、光線過敏症などの頻度が高かったという。

 さらに「結膜炎」の症例の47%が「寝たきり」と報告したのに対し、「結膜炎」のない症例の寝たきりは16%だけだった。

「報告では結膜炎を伴うサル痘は、失明を引き起こす可能性のある角膜瘢痕リスクがあるとしています。角膜とは一般の方が『茶目』と呼ぶ部分で、眼球の一番表面に位置する透明な組織です。茶目と呼ばれるのは、角膜よりも奥にある虹彩が、透明な角膜を通して茶色に見えるためです。角膜は5層から成っていて、5層のいずれの層が障害されても、視力は低下します。より深い層まで障害されればされるほど、治癒後に瘢痕という白い混濁が残り、失明を含めた深刻な視力障害の原因となります」

 そもそもコンゴ民主共和国、カメルーン共和国、中央アフリカ共和国などのサル痘ウイルスのエンデミック国では、サル痘の患者は結膜炎を含めた重篤な合併症を発症することが報告されている。

 例えば、厚労省の検疫所サイト「FORTH」に掲載された「複数国(非エンデミック国)におけるサル痘の発生について-更新2」の中で、<エンデミック国での合併症としては、二次的な皮膚細菌感染、脱水、結膜炎、角膜炎、肺炎、敗血症や敗血症性ショック、まれに脳炎や死亡があります。したがって、治療は、必要に応じて、臨床症状の管理、栄養・水分補給状態の維持、合併症や後遺症の予防に重点を置く必要があることになります>と書かれている。

■感染経路は性交渉とは限らない

 日本人がサル痘を軽く考えてはいけない理由は他にもある。それは、日本で梅毒が急速に感染拡大しているからだ。

「WHОが7月21日までに把握した世界のサル痘の患者数は約1.6万人。その多くが18歳から44歳の男性です。性的指向が把握できているうちの98.1%がMSMとの情報もあります」

 一方、ここ数年、若い女性を中心に急増している梅毒にも一定のMSMの患者がいると考えられている。今後はMSMの患者から女性に感染し、さらにそこから新たな感染者が増えても不思議ではない。

「私もその可能性が強いと思います。エイズのときも当初はMSM特有の病気と考えられていました。しかし、それは一時的な現象でした。エイズはいまや男女ともに感染する性感染症です。日本ではMSMの患者さんが多いものの、海外では患者の約半数が女性で、男女間の感染が主流です。サル痘もこの先は男性に限らず、女性の患者さんも増えていくと思います」

 しかも、サル痘は感染後の潜伏期間は7~14日と長い。そのため、感染に気がついたときには、既に感染が広範囲に広がっている可能性がある。

 サル痘は西アフリカや中央アフリカの一部で見られるウイルス感染症。5月7日の英国での報告を皮切りに世界各国で感染者が見つかり、既に現時点で75カ国・地域、1.6万人以上の感染者が報告されている。

 その感染経路は、感染者の体液、発疹に触れることや飛沫を長時間受けることとされていて、必ずしも性的交渉だけが感染経路ではない。新型コロナ同様、サル痘も甘くみることなく、正しく知って、正しく恐れることが大切だ。

 

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