眼科検診

[No.526] 特定健診における眼底検査のリポジショニング:平塚・山田の記事

清澤のコメント:今月の東京都眼科医会報に「特定健診における眼底検査のリポジショニング」という平塚義宗先生と山田昌和先生の共著記事が出ています。眼科検診の有用性を世に伝えてゆきたいものです。

概要:

健診・検診の定義と特定検診

1,健診・検診とは 少数の特別な目的疾患発見のための検査を「検診」(正常と異常は分離可能、がん検診や結核健診)、より一般的な健康状態の検査を「健康診断(健診)」と表現する。

日本語の「健診」はリスク・アセスメントあるいはヘルス・アセスメントに相当する。⇒「眼科検診」

2,眼科検診を受ける機会は激減している:2006年の法律による特定検診で、日本の健診制度は大きく変化した。メタボリックシンドロームの予防に重点を置いた。眼底検査の受診率は特定検診導入後前年度の100分の1に低下した。2018年の眼底検査実施要件の緩和後も国保特定検診受信者の18%のみ。

特定健診における眼科検査のリポジショニング:特定健診対象者がもっと眼底検査を受けられるようにするのが現実的。これが眼底検査のリポジショニング。

1,特定検診にはどのような眼疾患が隠れているか:すべての特定健診受診者が眼科医療機関で眼底検査を受けてよいとする自治体(世田谷区、松江市、仙台市、1360例)で調査)眼疾患:緑内障12%、白内障6%、黄斑前膜3%。緑内障の78%が初めて緑内障と診断された。中等度18%、進行例(-12dB以上)6%。眼底検査対象者の範囲を拡げることで、多くの隠れた眼疾患の発見が可能となる。

2,眼科検診を同時に行うことで、特定検診そのものの受診率を改善できないか:特定健診受診率(53%)は国の目標値(70%)を大きく下回っている。眼の検診も受けられるのなら特定健診を受けてみようという気持ちが強まるかもしれない。各自治体における特定健診受診率と成人眼科検診同時実施には優位な関連がある。全対象者に眼科検診を行うと受診が7.4%増加した。眼検診は特定健診本体の受診率向上にも貢献できる可能性がある。

検診をめぐる現状:JAMA総説で一般的な健診は、死亡率や心血管イベントの減少と関連しないと結論。ハイリスクグループを対象に実施するのが合理的かも。日本は多種類の健診が広範な字の句をかばーしている。OECD諸国で一般的健診をする国は少ない。財務省などからは費用対効果が低いとされる。市町村に眼科検診の有効性を伝える眼科医が望まれる。

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