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[No.1180] 草刈り中に失明した男性に和解金…シルバー人材センター

眼科医清澤のコメント;失明という眼科にも関連したテーマなので記事を抄出採録します。自動草刈機の丸鋸の欠けた鉄の破片の眼内飛入による外傷かと思いましたら、そうではなくて土壌に含まれる真菌による角膜潰瘍だったようです。いずれにしても、早急な眼科での加療しか対策はなさそうです。作業中事故後遺症の保証をどこに求めるかは別の問題で、高齢者の雇用確保と作業安全の兼ね合いが問われます。90歳を超す老齢の母が暮らす私の実家でも、庭の手入れをシルバー人材センターの方々に手伝ってもらっていると聞いています。保険をかけておくとなれば、ただでさえ少ない会員の手取り手当を削るのか、市町村などが従来なかった補助金を出すのか?という話になってしまいます。

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草刈り中に失明した男性に和解金…シルバー人材センター「高齢者まかせ」の安全対策「限界」 

2022年9月18日 06時00分
 シルバー人材センターから紹介された草刈り中に片目を失明した高齢男性が安全管理上の不備があるとして提訴、今年1月にセンターが和解金を支払っていたことが分かった。センターは会員と雇用関係がないため安全配慮義務がなく、提訴自体が異例。会員の高齢化で全国的に事故率が上がり重篤化の傾向もみられる中、長年あいまいにしてきた安全確保策の強化が課題に浮上している。(池尾伸一)

◆「裁判しなかったら泣き寝入りだった」

草刈り中に事故に遭った直後の野口光芳さん=2016年10月、大阪府枚方市で(長男提供)

草刈り中に事故に遭った直後の野口光芳さん=2016年10月、大阪府枚方市で(長男提供)

 失明したのは元タイル職人の野口光芳さん(80)。2016年10月、74歳の時にセンターから紹介を受け、大阪府の私大構内を刈り払い機で作業した。現場は30度の急斜面。湿気で保護眼鏡が曇って足元が見えず、滑落の危険から外して作業していると、泥が左目に入った。数日すると激痛を感じ、病院でカビ菌が入ったと判明。手術を受けたが視力は失われた。
 センターの傷害保険で支払われたのは治療費程度で後遺症の補償もない。「危険な現場を紹介すべきでなかった」と大阪地裁にセンターを訴えたが、センターは「安全対策は本人の責任」と主張していた。和解を受け、自らも建設会社の安全衛生責任者を務める長男(49)は「急斜面の草刈りはプロの仕事。高齢者に任せきりなんてあまりにずさん。裁判しなかったら泣き寝入りだった」と振り返る。
 労働問題に詳しい龍谷大の脇田滋名誉教授は「法律上は安全配慮義務がないセンターが和解金を支払い、会員の安全確保の強化を確約した意味は重い。政府は高齢者を守る体制の整備を急ぐべきだ」と指摘した。

◆事故率は上昇、死亡など重篤事故も増加傾向

 センターは高齢者の生きがい増進を目的に「軽易な仕事」などのあっせんが建前だ。しかし会員1000人中の就業中事故は11年度の4.9件が21年度は5.7件と増加傾向。死亡と6カ月以上の入院を合わせた重篤事故も21年度までの5年間で143件(死亡94件)起き、その前の5年の127件(同89件)を上回る。埼玉県上里町では昨年9月、73歳の男性が、自走式草刈り機とともに斜面を転げ落ち、刃に巻き込まれ死亡した。
 会員の平均年齢は07年度まで60代だったが、21年度には74歳に上昇し、全国シルバー人材センター事業協会は「高齢化が事故発生率上昇の原因」と説明。労働安全衛生総合研究所の高木元也特任研究員は「高齢化で事故が起きやすくなる中、安全対策が追いついていない」とみる。
 企業の場合、安全管理責任者の配備や安全教育徹底など労働者保護が義務付けられる。センター会員は個人事業主のため安全対策も働き手自身の責任で行う原則で、構造的に弱さがある。高木氏は「会員任せでは限界がある。センターは安全教育や保護具着用の徹底が必要だ」と強調した。
 

シルバー人材センター:短期・軽易な仕事を高齢者に紹介する公益法人で、高年齢者雇用安定法に基づき運営。原則、会員は個人事業主のため労働安全衛生法の定める安全配慮義務がない。市町村ごとに設立され昨年3月時点で1303団体ある。会員は60歳以上で、月10日、週20時間程度が労働上限。平均月収は約3万5000円。企業への65歳までの雇用継続義務付けで勤め続ける人が増え、最近は入会数が減少、入会年齢は上昇した。ピークの2009年度に79万人だった会員数は昨年度で68万人。

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