清澤のコメント:週刊ポスト6月3日号に「緑内障手術で失明、危ない眼科医はこう見抜け」という記事が出ていましたので購入してみました。記事本文とネットでの採録記事を参考に取り上げてみます。実際に患者さんが緑内障手術の良い術者を探すのはなかなかむつかしいです。また、手術結果が満足できない結果であっても、それは必ずしも術者の腕が悪いからとは思いません。ネットの患者コメントやホームページの自画自賛は信用するな、「友人に聞け」というあたりにはむしろ共感します。記事では、ユーチューブ発信で有名な平松類医師やその他の医師達がコメントを寄せていましたが、私はおおよそ妥当な発言だろうと思いました。日刊ゲンダイの私の連作記事もご覧ください。
――――記事の要点―――
中途失明原因1位の「緑内障」 些細な違和感が初期症状になっているケースも
年齢を重ねれば、必ず向き合わなければならないのが「目の悩み」だ。重篤な症状に陥る前にまず頼るべきは眼科医だが、その技術と姿勢は千差万別。人生を暗転させないために、医者選びも重要になってくる。
神奈川県在住・60代男性のAさんは、旅行先から帰路につく運転中に視界の異変に気づいたという。(中略)Aさんの診断結果は重度の緑内障。左目の約2分の1の視野が欠けており、視野が回復することはないと告げられた。
Aさんのように、「なんだか視界が狭い気がする」「メガネの度数が合わなくなってきた」など、――些細な目の不調が、実は深刻な目の病気の初期症状だったというケースが急増している。
厚生労働省の「平成29年患者調査」によると、同年、眼科にかかった総患者数は国内で約370万人。過去10年で約90万人増加しており、さらにうち約226万人を65歳以上の高齢者が占めている。社会の高齢化やデジタル化とともに、目の病気は増加の一途をたどっているのだ。
二本松眼科病院副院長の平松類医師が解説する。
「人間は五感の中でも視覚から多くの情報を得ているので、目の状態はその人のQOL(生活の質)に直結します。白内障などで視力の悪い人は、視力が正常な人よりも認知症になる確率が16%高いとの報告もある。また目の異常を放置していると重大な疾患を発症し、最悪の場合は失明に至る怖れがあります」
緑内障は、中途失明原因として全体の28.4%で1位となっており(厚生労働省2017年度研究報告書)、治療法として手術を選択した先に最悪の結果が待っていた人もいる。
5月2日の日刊ゲンダイで、ジャーナリストの下村満子氏(83)はこう語っている。――(中略)―
目の治療や手術は眼科医の経験や実力、また患者とのコミュニケーションいかんで、結果にグラデーションが出るケースが目立つ。治療が必要になった時に眼科医や治療法を正しく選択できるように、各病気の基礎知識と治療リスクを知っておく必要がありそうだ。
ネット記事はここまでで、後半が採録されていない。そこから先を要約してみると:
かけた視野は回復しない:緑内障は視神経の線維が減少し少しずつ視野を失ってゆく。
緑内障患者は近年急増し、17年時点で106万人。過去10年で2倍。
視野が欠けても、脳がかけた像を補うので自分での発見は難しく、気づいたときは半分かけていることもある。手術は進行を食い止めるのが目的で、手術で視野は回復しない。
緑内障点眼薬:点眼薬の処方ミス?新薬で効果が弱く、スタンダードなものに変えて眼圧が下がることもある。点眼薬のさし方にも注意点がある(涙点の圧迫を推奨)。
緑内障手術:繊維柱帯切除術が一般的。進行した緑内障や白内障合併例では難易度が高い。手術前の定期的診察も必要。眼底検査が必要。3次元画像解析装置(OCT)がある。
白内障術後視力低下:Bさんは水晶体が加齢で曇る白内障。白内障は60台で74.5%、80歳以上なら99.9%が発症。軽度なら点眼で、重度なら手術。およそ年間140万件。起こり得るのが術中の水晶体後嚢の破損で、術者に高いスキルが要求される。この場合は、水晶体を毛様体固定する。単焦点レンズと多焦点レンズの問題もあり、ハローグレア現象にも関連する。(安易に新型レンズを勧める医師には注意と。)後発白内障というものもあり、術後も定期的な検査が必要。
加齢黄斑変性:加齢で黄斑が損傷し視力が低下する。50歳以上の2%に起き、患者急増中。欧米では失明原因のトップ。「抗VEGF薬」の眼球内投与が主流。合併所として、水晶体に針が触れ、白内障を起こすことがある。「光線力学療法」というものもある。
口コミは当てにしない:第一の指標は眼科専門医の資格。資格の有無は確認できる。手術実績も目安だが、ここ2年程はコロナによる受診控えで手術数は激減している。ホームページやネットの口コミは捏造もあるから当てにならない。身近な友人や知人の意見が信頼できる。医師とのコミニュケーションが治療成功のカギ。
眼鏡を作りに眼科を受診するときの医師との会話を大切にしようと。患者さんの「思い」ではなく「事実」を伝えてほしい。
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