視能訓練士会の会報に掲載予定の症例のアブストラクトです。
右眼動眼神経麻痺と両眼瞳孔異常を呈した神経梅毒の一例
田添 千智1)・小町 祐子1)・石川 弘1)・清澤 源弘1),2)
1)清澤眼科医院、2)東京医科歯科大学
A Case of Neurosyphilis with Right Oculomotor Nerve Palsy and Bilateral Argyll Robertson Pupil
要 約
【目的】身体及び精神症状を認めず、右眼の動眼神経麻痺と両眼のArgyll Robertson(AR)瞳孔を認めた神経梅毒の一例を経験したので報告する。
【症例】40代男性。十数年前より梅毒感染の機会があった。複視を自覚し眼科を受診。神経梅毒と診断され、駆梅療法が行われた。その後、当院初診。60⊿のA型間欠性外斜視を認め、Hessチャートは右眼の動眼神経麻痺を呈した。瞳孔不同と、左眼に対光近見反射解離がみられた。動眼神経麻痺は寛解したが下方視での複視が残存し、斜視手術が行われた。
【考察】眼球運動障害や対光近見反射解離が見られる場合には、散瞳、縮瞳を問わず、梅毒を鑑別疾患の一つとして挙げる必要があると考えられた。
キーワード:神経梅毒,動眼神経麻痺,Argyll Robertson瞳孔,対光近見反射解離,間欠性外斜視
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