日本眼科医会第81回生涯教育講座「眼疾患と全身因子」が開催予定中で、その参加募集が進んでいるという話が出ました。日本の眼科に掲載されたというその内容と、申し込み方法をここに再録いたします。締め切りが迫っています。ご興味のある眼科医は下のアドレスからお申し込みください。⇒http://www.joa.umin.jp/ 日本眼科医会学術部の委員会が開かれその席で聞いた話題です。
主催:公益社団法人日本眼科医会
前書き:
オーガナイザー:村田 敏規(信州大)
第 81 回生涯教育講座「眼疾患と全身因子」では、あくまでも日常診療に役立つ眼科的治療の解説を中心としますが、さらなる治療成績の向上のために、そこに眼科医として全身因子への配慮が必要である疾患を対象としました。眼科医であれば皆、眼科的疾患は自分の力で治したいと考え、疾患を学び、治療の腕を磨きます。当初この生涯教育講座のタイトルは「全身疾患と眼」でしたが、これは全身疾患があり合併症としての眼疾患をとらえるという意味になります。「眼疾患と全身因子」というタイトルに変更したのは、眼疾患はあくまでも眼科医の力で治療するのだという気概を持ち、さらに治療成績を改善するために全身因子にも気を配れる眼科医を目指そうという願いがあります。
緑内障、神経眼科、前眼部疾患、ゲノム医療、ぶどう膜炎をふくむ炎症、そして網脈絡膜疾患、各分野の先端を走る先生方に講演をお願いしています。第 80 回の「小児眼科診療のアップデート」に引き続き、今回 81 回は、高齢者では特に配慮が必要となる「眼疾患と全身因子」の最先端の情報を吸収し、さらなる日常診療における治療成績向上につなげていただければ幸いです。
プログラム
●第1日目
15:30~15:45 はじめに 村田 敏規(信州大)
15:45~16:35 緑内障と全身因子 中澤 徹(東北大)
16:35~17:25 神経眼科と全身因子 中馬 秀樹(宮崎大)
17:25~17:35 休 憩
17:35~18:25 眼科ゲノム医療と全身因子 西口 康二(名古屋大)
18:25~18:55 質疑応答
●第2日目
9:00~ 9:05 はじめに 村田 敏規(信州大)
9:05~ 9:55 前眼部疾患と全身因子 天野 史郎(お茶の水・井上眼科クリニック)
9:55~10:45 網脈絡膜疾患と全身因子 村田 敏規(信州大)
※福岡講座 眼内炎症と全身因子 南場 研一(北海道大)
10:45~10:55 休 憩
10:55~11:45 眼内炎症と全身因子 南場 研一(北海道大)
11:45~12:15 質疑応答
12:15~13:10 まとめ
この講座は日本眼科学会専門医制度の生涯教育事業として認定されています。(1 時間 1 単位)
(第 1 日目 3 単位、第 2 日目 4 単位を予定)
東 京 講 座 Web ライブ配信 2022年 2 月19日(土)・20日(日)
福 岡 講 座 Web ライブ配信 2022年 2 月26日(土)・27日(日)
名古屋講座 Web ライブ配信 2022年 4 月2日(土)・3日(日)
緑内障と全身因子 中澤 徹(東北大)
緑内障治療で唯一エビデンスがあるのは眼圧下降だが、自験例で、20%の眼圧下降を得られても半数の症例で視野障害進行が止まらないというデータがある。一つの盲点は、全身の血流が目に影響する現象を眼科医があまり重視していないことである。正常眼圧緑内障では、睡眠時無呼吸症候群を有する症例が 40%近く見られるとの報告があり、無呼吸の治療により緑内障の進行を抑制できることが知られている。眼循環は、メタ解析では緑内障の進行に関与することが知られ、重要な危険因子と考えられる。本講演では、全身の血流と酸化ストレスの視点から緑内障診療を再考したい。
神経眼科と全身因子 中馬 秀樹(宮崎大)
神経眼科疾患と全身因子は、相互に複雑に関わり合っている。本講演では単純化するため、神経眼科的所見として現れる全身疾患(多発性硬化症、悪性リンパ腫など)、神経眼科疾患の臨床診断に全身因子の情報が必要なもの(虚血性視神経症、虚血性眼球運動神経麻痺など)、特異度の高い自己抗体が関連するもの(甲状腺眼症、重症筋無力症、Fisher 症候群、自己抗体陽性視神経炎)に分けて解説したい。
眼科ゲノム医療と全身因子 西口 康二(名古屋大)
これまで、多くの眼疾患に対する遺伝子解析研究が行われ、眼疾患と眼外因子との関連が明らかになってきた。それらの研究成果を臨床に生かす試みが始まっているが、本格的な臨床応用は始まったばかりである。本講演では、網膜芽細胞腫に対して行われているゲノム医療の実情から遺伝子解析による加齢黄斑変性、緑内障、近視における病態解明とその成果の医療応用の展望などを「全身因子」をキーワードに幅広く解説する。
前眼部疾患と全身因子 天野 史郎(お茶の水・井上眼科クリニック)
全身因子が関与する前眼部疾患は数多くある。梅毒、結核などが角膜実質炎を、関節リュウマチや多発血管炎性肉芽腫症などの自己免疫疾患が強角膜炎を、全身性代謝異常が角膜混濁を、それぞれ引き起こす。糖尿病は角膜症の、アトピーは結膜炎・円錐角膜の、シェーグレン症候群は重症ドライアイのそれぞれ原因となる。全身に投与される薬剤が引き起こす前眼部疾患も忘れてはいけない。全身因子が関連する多種の前眼部疾患について、多くの症例提示を交えながら解説したい。
網脈絡膜疾患と全身因子 村田 敏規(信州大)
日常的に外来で診察する網脈絡膜疾患として、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜静脈分枝閉塞症などがあり、抗VEGF 薬の登場で失明予防から視力改善を期待できる疾患となった。この中でも網膜疾患は全身因子の影響を大きく受ける。まずは眼科的な併用治療(ステロイドテノン囊下注射、レーザー、手術など)について解説し、これに全身因子への考慮を加えることで、抗 VEGF 薬を可能なかぎり実用に供する治療法とする可能性につき考察したい。
眼内炎症と全身因子 南場 研一(北海道大)
眼内炎症(ぶどう膜炎、強膜炎)には、眼単独の疾患もあるが、全身疾患に関連して生じる疾患も少なくない。どのような眼所見をみた時にどのような全身疾患を疑い、どのような検査をすべきなのか、診断を確定するためにはどの診療科に相談すべきなのかをある程度知っておく必要がある。また、最近では様々な新規治療薬が登場しており、治療ガイドラインなども年々更新されている。本講演では我々眼科医が知っておくべき眼内炎症に関連した全身疾患について概説する。
1.申込方法
ホームページ(http://www.joa.umin.jp/)もしくは、右記 QR コードをスキャンし、申込締切日までに必要事項を入力の上お申し込みください。
お申し込み後すぐに受講料の振込口座のご案内のメールをお送りします。受講申込後翌日になってもメールが届かない場合は、各開催事務局へご連絡ください。
2.受講料
A会員:¥20,000 B会員:¥15,000 C会員:¥1,000
非会員眼科医:¥50,000
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