光視症が有ったら要注意:
清澤のコメント:光視症は、加齢変化で硝子体が液化して前方に移動するときに、網膜と硝子体の後ろの膜の間に癒着があれば、網膜が前方に引っ張られ、その刺激を暗い部屋でも光として感ずることにより光が視野の中に感じられるものです。また近視の目ではこれがおきやすいです。
この場合、OCTで網膜を撮ってみると引っ張っている硝子体が見える(vitreomacular traction)(上図)こともあります。
後部硝子体剥離が起きているとして、それが網膜裂孔を伴う確率は約5%、網膜剥離を伴う確率も約4%程度だそうです。
網膜に穴が開いていれば、場合によっては光凝固や本格的な手術が必要であり、その時には関連病院に検査や治療の依頼をします。網膜剥離がなければあまり心配はありません。
また、稀な疾患ですが視野欠損を伴うAZOOR(アズール)という網膜疾患でも光視症を示すと言われています。
さて、今日のネット記事にこの光視症を説明した記事がでていました。この著者の窪谷日奈子先生はきれいな絵を描かれるのでも有名な先生で、数年前に絵をお借りして南砂町の清澤眼科に数週間展示させて戴いたことがありました。
―――記事引用――――
暗い場所で光がピカッと見えたら要注意です 眼科医が警鐘、網膜裂孔や網膜剝離の初期症状かも
マンガやアニメで、頭をぶつけた時に星がチカチカする表現をみたことはありませんか?あれは「光視症」という現象です。実際にはないはずの光が、視界に一瞬ピカッと光ったように感じることを、光視症といいます。
この光は暗い場所で気がつくことが多く、目を閉じている時にみえることもあります。光視症のほとんどは病的なものではありませんが、網膜裂孔や網膜剝離の初期症状ということもあるので眼科で検査を受ける必要があります。
光視症は目の中につまっている硝子体というゼリーが、目の奥の網膜を刺激すると生じます。眼球の中を満たしている硝子体のゼリーは、若い頃は目の奥にある網膜にぴったりと接着していますが、年齢とともに縮んで目の奥から剝がれていきます。これ自体は誰にでもおこる変化です。硝子体が網膜を引っ張る刺激、これが光として感知されてしまうのです。
網膜から硝子体が完全に剝がれてしまえば光視症はなくなりますが、接着が強いと網膜が裂けることがあります。光視症自体は病気ではないので、治療の必要はありません。しかし目の奥からゼリーが外れる際に目の奥に穴があくと網膜裂孔に、そこから網膜剝離が広がっていくことがあります。光視症に続いて飛蚊症が起こったり、視野が欠けたりした場合は、網膜裂孔や網膜剝離が生じている可能性があるので早めに眼科を受診したほうがいいでしょう。
網膜裂孔や網膜剝離は治療が必要です。網膜裂孔は進行を防ぐためレーザーによる治療が行われますが、進行した網膜剝離の場合は手術が必要になります。網膜剝離は放っておくと失明する病気です。一度進行してしまうと手術で治療しても視力が元に戻らないこともあるので、早めに治療することが大切です。
◆窪谷日奈子 医療法人社団吉徳会・あさぎり病院・眼科医長。眼科専門医。
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