神経眼科

[No.1064] 羞明の有無による片頭痛患者の糖代謝分布の違い:神経眼科学会提出演題

清澤のコメント:日本神経眼科学会に鈴木幸久先生が提出してくれた私も共著の抄録を紹介します。彼はすでに原著原稿まで作って見せてくれました。話の理解のために、視床(内側核)の構造図をつけておきます。

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目的:片頭痛患者において、発作時は羞明を自覚することが多いが、非発作時においても恒常的に羞明を自覚している患者もいる。今のところ、片頭痛患者が羞明を自覚するメカニズムについては不明である。片頭痛患者の脳糖代謝変化についてポジと温暖双方(PET)を用いて調べた。

対象方法:PETおよび18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いて、恒常的羞明を伴う片頭痛症例22例(男性10例、女性12例)、羞明を伴わない片頭痛症例18例(男性8例、女性10例)の安静時脳糖代謝を測定し、県条例42(男性16例、女性26例)と比較した。

結果:羞明を伴う片頭痛および羞明を伴わない片頭痛の両軍ともに、健常軍と比較して両側視床の糖代謝更新が見られた。また、羞明を伴う片頭痛群は羞明を伴わない片頭痛群と比較すると両側視床内側部の糖代謝更新が見られた。

考察:視床内側部に存在する後内側腹側核は三叉神経からの入力を受け、疼痛の認知等に関連していると推測されている。また、網膜神経節細胞から視床に投射し、感覚系および関連する皮質へ出力する羞明回路が提唱されており、この回路の活性化により視床の糖代謝が亢進している可能性があると考えられた。

結論:恒常的羞明を伴う片頭痛において、視床内側部の糖代謝亢進が見られ、羞明の発症に関連していると考えられた。

1,倫理審査委員会承認:有 2,インフォームド・コンセント取得:有 3,利益相反公表基準:無

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