CL購入時の眼科受診率、落ち込みが顕著に
2014年60%→2022年20%→元記事メディカルトリビューン 2022年08月19日
日本コンタクトレンズ協会では、2014年から毎年、コンタクトレンズ(CL)に関する消費者実態調査を実施している。同協会副会長でメニコン生産開発統括本部長の川浦康嗣氏は、第8回調査の結果をフォーサム2022せとうち(7月8~10日)で発表した。それによると、2014年に実施した第1回調査と比べ、CL購入都度の眼科受診率が60%から20%へ大幅に低下していた。
CL出荷額はコロナによる落ち込みから回復
川浦氏はまず、直近のCLのメーカー出荷額について触れた。2019年の2,570億円から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による外出自粛要請があった2020年は6.5%減少して2,402億円となったものの、2021年には2,570億円とCOVID-19パンデミック以前の水準まで回復した。
CLの種類別に見ると、クリアレンズが2019年2,128億円、2020年2,019億円、2021年2,154億円、カラーレンズはそれぞれ442億円、383億円、416億円だった。
続いて同氏は消費者実態調査の結果を紹介した。日本コンタクトレンズ協会では、2022年1月8~18日に15~59歳の男女を対象として、CLの購買実態、使用状況、眼科受診状況に関するアンケートをインターネットで実施した。スクリーニング調査として5万3,304人、本調査(CL購入者のみ)として3,598人の回答が得られた。
なお、第1回調査の対象は全て女性だったため、今回の調査結果との比較は女性のみの数値となっている。 (中略)
一度も受診なしの割合は低下
15~29歳の女性において、CLの購入頻度が高い施設を調べたところ、第1回調査(1,168人)では眼科および眼科併設店が52%だったのに対し、第8回調査(1,198人)は45%と有意に低下し、インターネット通販が23%→30%と有意に増加していた(全てP<0.01)。(中略)
2017年9月の厚生労働省医薬・生活衛生局長通知「コンタクトレンズの適正使用に関する情報提供等の徹底について」発出を受け、2018年の第4回調査から新設した購入時の眼科受診勧奨に関する項目については、「いつも勧められる」「どちらかといえば勧められることが多い」は第4回調査、第8回調査とも60%超で大きな変化はなかった。
一方、購入時の眼科受診については、「一度も受診なし」が第1回調査の15%→第8回調査の9%と有意に改善したものの、「購入都度の受診」は同期間に60%→20%と大幅に減少し(全てP<0.01)、これらに伴い「初回含め不定期受診」が25%→71%と増加した。川浦氏は「一度も受診なしが減ったことは喜ばしいが、今後は不定期受診の中身の質を高めていく必要がある」と指摘した。レンズ別では、カラーレンズに限定すると「初回含め不定期受診」が29%→74%と増加していた。
非受診の理由をレンズ別に見ると、全体、クリアレンズ、カラーレンズとも「お金がかかるから」「眼に不具合・不都合を感じていないから」が上位を占めた。
95%がCLをごみ箱に捨てると回答
コロナ禍の外出自粛に伴いCLの使用頻度が低下し、眼鏡の月間使用日数が「増えた」としたのは、2021年の第7回調査で34.7%だったが、第8回調査では29.6%と増加幅が縮小し、同時にCLの購入回数が「減った」としたのは32.9%→25.9%と減少幅が縮小していた。川浦氏は「CL需要の回復傾向が示唆されている」と述べた。
また今回は、使用済みレンズ廃棄に関する意識調査も実施した。日本では、いずれの年齢層においても約95%がごみ箱に捨てると回答していた。
以上を踏まえ、同氏は「眼科受診率について、一度も受診なしの割合は減少しているが、受診勧奨率が低いチャネルに対し協力要請を行うことが重要。あらためてCLの適正使用など、安全啓発を実施していく」と述べた。
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