清澤のコメント:麻薬の過剰摂取による死者が毎日100人もいるという記事を日刊ゲンダイで出していただきましたが、それに先行してフォーブスジャパンにモこんな記事が出ていました。
米国で問題になっているオピオイドの過剰摂取、対策の最新動向(2021/12/8(水) 6:30配信)
Tommaso Salvia / Shutterstock.com
米国が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘いを続ける一方で、その混乱のなかで忘れ去られているのが、米国における薬物過剰摂取による死者数が2020年に過去最高を記録し、およそ9万3000人に達したという事実だ。さらに、2020年5月から2021年4月までの1年間に、その数は10万人にのぼった。この死者数は、前年同期から大きく増加している。 一般の認識とは裏腹に、「処方されたオピオイド系鎮痛剤」の誤用、乱用、転用という問題は、近年ではそれほど大きな要因ではなくなっている。薬物過剰摂取による死亡をめぐる記事には、処方された鎮痛剤の瓶の写真が添えられていることが多いが、それが誤った印象を生んでいる。 したがって、現在進行している危機に関しては、処方されたオピオイドと、違法オピオイドがもたらす役割を適切に区別することが重要だ。薬物過剰摂取による死亡原因の大多数を占めているのは、ヘロインと、合成オピオイド系の違法薬物フェンタニルであり、とりわけフェンタニルは圧倒的に大きな要因になっている。 現在のオピオイド危機は、「米国で最も重要だが、防止可能でもある公衆衛生問題」と言われている。おそらく、そのとおりだろう。あまり注目されなかったものの、2021年10月にはバイデン政権が、薬物過剰摂取による死者数を抑えるための新施策を提案している。 連邦政府の支援拡大と、違法薬物を常用している人の被害を減らすための戦略の調整については、合意が形成されつつある。たとえば、フェンタニル検査用ストリップの配布を拡大すれば、路上で売られている、致死性の高い合成オピオイドで汚染された薬物を避けることができるだろう。 バイデン政権の計画には、おそらくそれよりも物議を醸しそうな方策として、注射針交換プログラムの拡大も盛り込まれている。こうしたプログラムは、HIVや肝炎といった感染症の拡大を防ぐ効果があることが、数十年前から実証されている。 地方自治体レベルでは、違法薬物常用者の被害を減らすための包括的なプログラムがすでに実施されている。ニューヨーク市は、専門家の監督のもとで薬物使用者が注射を打つことができる2施設の開設を許可した。 この施設では、清潔な注射針が提供されるほか、過剰摂取の影響を打ち消すナロキソンなどの薬剤も投与される。利用者には、依存症治療の選択肢も提示される
現在のオピオイド危機では、処方されたオピオイドの誤用や乱用の影響が、激しい議論の的になっている。オピオイド処方数がピークに達した直後の2013年には、報告された薬物過剰摂取による死者数4万4000人のうち3分の1以上が、処方オピオイドの不適切な使用によるものだった。 2013年以降、薬物過剰摂取による死者のうち、処方オピオイドの不適切な使用を原因とする事例の割合は減少している。その一因は、各州や郡で制定された規制政策と、2016年に米疾病予防管理センター(CDC)が打ち出した推奨ガイドラインに基づいて、オピオイドの処方が減少したことにある。 オピオイドには、痛みに苦しむ人に処方される合法的な用途もあることから、専門家のなかには、オピオイド処方の「振り子」が、処方を厳しく制限する方向に振れすぎており、無理やり減らしている場合さえあると主張する人もいる。 とはいえ、処方オピオイドが誤用、乱用、転用されるケースがあることは否定できない。そしてこの点で、問題は複雑になっている。この問題には、製薬業界から規制当局、医師、保険者(payer:連邦政府や民間保険会社など)、薬局、卸売業者、患者まで、多くの関係者が絡んでいる。 政府の政策決定者に求められているのは、現在のオピオイド危機の主な原因、すなわち違法フェンタニルとヘロインに的を絞った取り組みを強化すると同時に、処方オピオイドの誤用や乱用を抑制する予防的アプローチのあり方を見直すことだ。 オピオイドの問題は複雑だ。この危機に対処するためには、多くの関係者が連携し、臨床や公衆衛生上の効果的な戦略をとる必要がある。
清澤の追加:比較的古いこのテーマの記事です
https://www.kiyosawa.or.jp/neighbors/45524.html/
コメント